今、日常生活の中のあらゆる場面で使われているハサミ。
このハサミは一体どこでどんな風にして、作られているか皆さんご存知でしょうか?
特に洋裁に使われるラシャ切鋏を中心に、
私共は昔ながらの製法(鉄から成型し、研いでいく)で製造しており、
一丁ずつ丁寧に作り上げております。
「日本の文化・伝統」が見直されていることはメディアを通して、
至る所で目にするようになりました。
昔から、作られ・使い続けられているのにはワケ理由があります。
人それぞれ理由はあると思いますが、使いやすさやデザイン、
木を使った物なら年数を重ねるごとに出てくる味も理由の一つかもしれません。
しかし、近年において100円ショップに代表される大量生産・大量消費により、
手作りで作られる伝統的な製品は、価格と手軽さに押され縮小していきました。
この問題には、作り手である職人や小売店側にも問題はあります。
その品質・機能・デザインの良さ・こだわりを伝える努力をしなかった、
する場所がなかった。
つまり、購買者に「商品を選ぶ基準」を示さなかった(基準は価格と手軽さのみ)
ここに大きな問題があるのではないかと思います。
あなたの周りの人を思い出して見て下さい。
たとえ安い商品を買っている人でも、
何か「こだわり」があるところにはお金をかけていませんか?
そのこだわりや接客による商品説明、広告・カタログ等のPRで良さが伝わることにより、
選ぶ基準に、使い続けて行くという「将来」と「機能性」などが加わり、
購買者はそれを加味した上で商品を選ぶことができる。
こうして多少価格が高くても購買行動へとつながるのでしょう。
「モノ」を作っていれば売れていた時代を生きてきた伝統的職人には
「俺は作るだけ」という方が多いのは事実です。
しかしそれでは、たとえ素晴らしい商品を作ったとしても売れない時代。
いかに良さを伝えるか、いかに知ってもらうか。
ここが、伝わる一つの場所となれば幸いです。